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剪定・・・の前に、「貴腐ケルナー」のお話

明日で12月になります。

広大な新園地での剪定作業も先週でようやく終了し、おとといからは創業当時から続く畑、通称「旧園」へと入ってきました。こことて決して小規模というわけではないのですが、作業の機械化を想定して作られた新園のように広大な面積かつ長距離の垣根・・・という程でもない、人の目にも見通しがきく面積なので気分的に滅入ってしまうということが無くていいですね(笑)。

ベテランさんたちは先週から「補木取り」というのを剪定と同時にやっているのですが、「一部の初心者」である僕はその横で通常どおりの剪定作業に従事しています。本当なら僕にもやらせてほしい所なんですが、通常の剪定ですら皆さんの半分程度のスピードでしか出来ない現状では、ただただ足を引っ張ってしまうだけですね。。。それに、蔓を選ぶ目が剪定以上に必要になってくる作業なので、まぁ、これは来年のお楽しみということにします。この「補木取り」という作業がどういうものかについては、もう少し調べてからここで書こうと思っています。


さて、いつだったか「貴腐待ちケルナー」のことを書いたように思いますが、去る11月13日に収穫が終了しました。

ところで「貴腐」って何のことでしょうか?。

「貴腐ワイン」という言葉を聞いた事があると思います。白ワインの中でも飛びぬけて甘く、文字通りの黄金色をした、いわゆるデザートワインですね。ちょうどアイスワインを想像してもらうとわかりやすいかな?。ただし、二つ並べてみれば色、香り、味、どれをとっても全然別物です。じゃぁ具体的にどう違うのか?、う~~ん・・・、ソムリエに聞いてみてください(笑)。当方、テイスティングについてはまだまだちんぷんかんぷんでして。。。でもまぁ、作り方の違いでしたら大丈夫!。

まずは、下の写真をどうぞ。

SN3E0140.jpg
↑多分、ただ腐っているようにしか見えないでしょうが・・・・・。

「貴腐」・・・これは、まぁ、菌の名前だと思ってください。貴腐菌におかされた葡萄から作るワイン、が「貴腐ワイン」。この貴腐菌というのは、学名を「ボトリティス・シネレア(Botrytis cinerea)」と言いまして、日本語では一般に「ハイカビ(灰色黴)」と呼んでいるものです。葡萄のような果実だけではなくて、野菜や花などにも感染するそうで、これにおかされた果実や花は褐色に変色してしまい、表面には文字通り灰色の黴が密生し、やがてミイラ化してしまいます。

ということで、これ自体は立派な病原菌なんですが、こと葡萄に関しては時としていい事もあるわけです。

この菌が成熟した葡萄の果実に感染すると、果粒の(皮の)表面を溶かし込んで小さな穴を無数に開けるそうで、ここから果実中の水分が蒸発して抜け出してしまい、結果ギュギュっと濃縮された飴色の果汁だけが残るわけですね。で、これを摘み取って搾汁機にかけると水分で薄められていない果汁のみが出てきますから、見事に糖度の高いジュースが取れる・・・とまぁ、こういうメカニズムです。

イメージとしては、干しブドウを絞ってワインを作っているようなものでしょうか?。また、この菌の代謝によってできる成分により独特の香味がつきまして、これがアイスワインとは大きく違う所です。アイスワインの場合は凍ったブドウをそのまま搾汁機にかけるから水分が出ないのであって、ね。

ちなみにこのハイカビですが、病原菌である以上、感染する時期によっては葡萄をダメにしてしまう事にもなります。具体的には春夏、つまり葡萄が完熟していない、充分に糖度がのっていない状態で感染すると、ただただ苦いだけの腐った葡萄になってしまうそうで、この時期のハイカビに関してはしっかりした防除が必要なんだそうです。


さてさて、この貴腐ワイン。起源というのは1650年頃のハンガリーまで遡るそうで、日本の納豆などと同じように偶然“できちゃった”という感じみたいですね。今では各国のワイン法によってしっかりとした基準が設けられていますが、何を隠そうわが国日本にはこのワイン法と呼べるようなものは無いのですよ。故にワインというものが著しく誤解されている現状があるのかもしれませんが、まぁそれは置いといて・・・、例えば欧州各国のワイン法に照らしたとき、今回収穫した葡萄から出来たワインは厳格な意味では「貴腐」を名乗ってはいけないのかもしれません。

というのも上の写真を見ての通り、完全に干しブドウ化してはいませんよね?。それに全体を通してみると見た目健全な果実のほうが割合的には多かったんです。とはいえ、糖度計で計ってみると貴腐化したもので糖度34度(!)、見た目健全果でも何と26度(!!)という驚愕の数字が出ておりまして、品質、手間暇、リスク等を考えればやはりプレミアム・ワインと言ってもいいのではないでしょうか?。(ちなみに通常の糖度は20度前後です。)

この状況を正確にラベルに表すとすれば、例えば・・・

「貴腐(化して糖度34度まで上った果実が4割くらい、且つ健全果でも糖度26度以上と驚愕の高さまで上がった超遅摘みの)ケルナー」

ってな感じでしょうか、長すぎですね(笑)。。。これじゃぁ一般の人はかえって混乱してしまうでしょう。



やっぱり、「貴腐ケルナー」でいいと思いませんか?。。。



・・・と、そんな貴腐のお話でした。


P.S 本社としては、日本にワイン法の無い現状を非常に憂いておりまして、仮にしっかりとした基準、指標というものが出来たとしたらそれに乗っ取ったグレーディング(例えばドイツならベーレンアウスレーゼとか・・・)にしたいはず。それだけ消費者の目、舌が肥えて、ワインという飲み物が日常生活に深く浸透してくれる日を夢見ていますからね・・・。

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